アクアリウム

【解説】稚魚のための生き餌の育て方

稚魚には生き餌を与えよう

メダカの稚魚は生まれてすぐのころ「針子」と呼ばれ、非常に小さな身体で口が小さく与える餌には注意が必要です。

栄養を含んだヨークサックをお腹につけて生まれてくるため、生後1〜2日は餌を食べずに生きれますが、体が小さいためその後の給餌に気をつけなければ餓死させてしまいます。

その頃の餌として与えると良いのが小さな「生き餌」です。簡単に培養できるのでその方法を解説します。

稚魚の口の大きさにちょうど良い生き餌を成長とともに選んで与えると良いでしょう。

インフゾリア(ゾウリムシ)の培養

生後2日目〜1週間ごろまでの生き餌には、インフゾリアが適しています。

インフゾリアはいわゆる「ゾウリムシ」です。原生生物であるインフゾリアは、簡単に培養でき、滅多に全滅することはないので、一度準備してしまえば半永久的に培養し続けることができます。

肉眼でギリギリ見えるくらいの大きさで、姿を確認したい場合はルーペなどで確認します。

インフゾリアの培養に必要なもの

インフゾリアの培養に必要な準備物です。

  • インフゾリアの種水
  • ペットボトル(1.5L〜2L)
  • ビール酵母などの栄養素
  • 給餌用のスポイト

インフゾリアの種水

生きているインフゾリアを含む種水を用意します。楽天などに出店しているネットショップで購入すると便利です。

インフゾリアは増やすことが簡単なので、購入する機会は最初の一回のみです。

ペットボトル(1.5L〜2L)

清涼飲料水などの一般的なペットボトルを用意しておきます。

蓋が必要なので、捨てずに準備しておきましょう。

ビール酵母などの栄養素

インフゾリアの栄養となるビール酵母などの錠剤や顆粒を準備しておきます。発酵させることで、インフゾリアの栄養となり、効率よく培養させることができます。

多くの場合、インフゾリアの種水を販売しているショップで取扱があるので、手持ちがなくなる前に定期的に購入するようにしましょう。

給餌用のスポイト

培養したインフゾリアを稚魚に与えるためのスポイトやピペットが必要です。

10ml程度の小さめのものを準備しておきましょう。

インフゾリアの培養手順

インフゾリアの培養手順です。

1. ペットボトルに種水と水道水を入れる

この時、ペットボトルには1/4ほど空気を入れるようにします。割合は50%ずつが目安ですが、種水に説明書が添付されていた場合は、記述にしたがって水道水を足しましょう。

2. ビール酵母などの錠剤を入れる

用意したペットボトルのサイズによって、1〜2錠追加します。

3. ペットボトルの蓋を被せる

ペットボトルの蓋を閉めずに、ボトルに置くだけにします。密閉すると酸素が入らないことで酸欠になり、インフゾリアが死滅する恐れがあります。

4. 1日1回、ペットボトルを攪拌する

ペットボトルを毎日1回、振って混ぜます。ペットボトルの蓋をきちんと閉めましょう。

5. 10〜15日間隔で足し水をする

日数が経つにつれて水が自然と減ってきますので、水道水を足します。この時、この時、ペットボトルには1/4ほど空気を入れるよう注意しましょう。

この時、再びビール酵母の錠剤を追加することで、元気にインフゾリアが育ちます。

上記の手順でルーチン化することでインフゾリアを培養することができます。

インフゾリアは重力に逆らって、上方に集まる修正がありますので、ペットボトル上部の水をスポイトで吸い取って、稚魚に与えるようにします。

インフゾリアの培養方法解説動画

インフゾリアの培養方法は、YouTubeにも解説をアップしていますので、ぜひ参考にしてください。

ブラインシュリンプの培養

生後1週間以降の生き餌には、ブラインシュリンプが適しています。

ブラインシュリンプは、主にソルトレイク原産の淡水エビです。450μmほどの大きさで、肉眼でも泳ぐ様子を確認することができます。

ブラインシュリンプの培養に必要なもの

ブラインシュリンプの培養に必要な準備物です。

  • ブラインシュリンプの乾燥卵
  • プラケースなどの容器(シャーレでも可)
  • 人工海水の素
  • 給餌用のスポイト
  • エアレーションポンプ
  • エアレーション用チューブ
  • エアストーン

ブラインシュリンプの乾燥卵

ブラインシュリンプの乾燥卵を用意します。楽天などに出店しているネットショップで購入すると便利です。

1回の孵化で使う乾燥卵は少量なので、一度購入すると長く使用することができます。

プラケースなどの容器(シャーレでも可)

飼育用プラケースを用意します。容量2Lほどの小さいものでOKです。

また、理科の実験などで使うシャーレでも培養可能です。稚魚の選別などにも持っていると便利なので、いくつか用意しておくと良いと思います。

人工海水の素

ブラインシュリンプの培養水は、塩分濃度を2%程度に設定する必要があります。

水道水を使って塩分濃度を適切に保つために、市販の人工海水の素を準備します。食塩などを使うと孵化率が著しく低下しますので、必ずアクアリウム用の人工海水で培養するようにしましょう。

お勧めは以下のGEXシーウォーターです。アクアリスト達の評判もよく、私も愛用しています。

給餌用のスポイト

培養したブラインシュリンプを稚魚に与えるためのスポイトやピペットが必要です。

10ml程度の小さめのものを準備しておきましょう。

エアレーションポンプ

深めのプラケースなどでブラインシュリンプを培養する場合には、エアレーション(ぶくぶく)で酸素を送り込み、容器内に水流を作ると孵化しやすいです。

エアレーション用のアイテムは多数ありますので、ポンプ、エアレーション用チューブ、エアストーンは以下を参考に準備してください。

エアレーション用チューブ

以下に紹介するエアレショーン用チューブのようにエアストーン付きのものがおすすめです。

エアストーン

エアストーンを単体で準備する際は以下の製品を参考に購入ください。

ブラインシュリンプの培養手順

ブラインシュリンプの培養手順です。

1. 人工海水を準備する

プラケースなどの容器に水道水を入れ、人工海水の素を追加します。塩分濃度は2%ほどが最適ですので、1Lあたりに約20g(大さじ1杯強)の人工海水の素を入れ、よく混ぜます。

2. ブラインシュリンプの乾燥卵を入れる

作成した人工海水にブラインシュリンプの乾燥卵を入れます。付属の計量スプーンなどで1杯(約2~3g程度)で十分です。

入れすぎると、次々に孵化してしまい、稚魚に与え切れないほどの数になるため注意です。

3. 1日程度おく

ブラインシュリンプは24時間ほどで孵化します。エアレーションしたまま、翌日の同時間帯に確認すると、小さな生物が動いていることを目視で確認できると思います。

与える際には、卵の殻を吸い込まないように注意します。ブラインシュリンプは光に集まる習性があるため、スマートフォンのライトなどで容器を照らし、集まってきたところをスポイトで吸って稚魚に与えましょう。

ブラインシュリンプの培養方法解説動画

ブラインシュリンプの培養方法は、YouTubeにも解説をアップしていますので、ぜひ参考にしてください。

人工飼料も準備しておく

生き餌の準備は以上のように簡単ですが、ブラインシュリンプなどを切らしてしまった際などにも餌を与えられるよう人工飼料を準備しておきましょう。

市販の人工飼料のうち、稚魚用のものがあります。粉末が小さく、餌を与えるための容器などが付いているものがおすすめです。

上記の動画でも紹介させていただいている人工飼料はこちらです。

まとめ

メダカなどの稚魚に与える生き餌を2種類紹介させていただきました。

培養方法は簡単ですので、ぜひ動画も参考にチャレンジしてみていただければと思います。

ではまた次の記事でお会いしましょう。